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デフバレー日本代表

世界のろうあ者のスポーツの祭典・第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025(以下、東京2025デフリンピック)が今年11月に開かれます。過去にバレーボール日本代表として世界選手権に出場した経験もある法学部3年次の明山哲さんに、東京2025デフリンピック出場に向けた目標や聴覚障がい者として桃山学院大学を選んだ理由などをうかがいました。

◇ 東京2025デフリンピック出場を目指す

私にとっては初めてのデフリンピックですが、個人的にはレギュラーで出ることを目標としています。チームとしてはもちろんメダル獲得を目標としています。
また、今回のデフリンピックは日本で初めての大会です。デフリンピックは、パラリンピックと比べると知名度はそれほど高くはありませんが、その歴史はパラリンピックよりも古く、第一回大会は1924年にパリで初めて開催されました。東京デフリンピックは、それから100周年を迎える記念すべき大会でもあります。そのような大会に日本代表として出場し、メダル獲得に貢献したいです。

◇ 中学でバレーボールに出会う

バレーボールを始めたきっかけは中学校の部活がバレーボールと卓球しかなく、仲の良かった先輩から「バレーボールに入ったらどうだろう」と誘われたのがきっかけでした。それまでは、野球やサッカーを少ししていました。
バレーボールを続けるためには練習会場への交通費や旅費、練習道具など、どうしてもお金が必要です。私がバレーボールに打ち込めるよう経済面で協力してくれていること、そして何よりも、今まで何一つ不自由なく過ごしてこられたのは母のおかげだと思っているので感謝しています。

100周年記念大会となる東京デフリンピックに、代表のレギュラーメンバーとして出場することを目標にしている

◇ 高校で伸びた実力

中学と高校で、顧問の指導方法は違って、中学の時の顧問はバレーボールの楽しさや基礎を教えてもらい、またメンタル面も鍛えられました。練習も全部顧問の指示で練習していました。高校の時の顧問は自分たちで考えて練習してくださいというスタンスで、足りないところをアドバイスしてもらう程度でした。私にはそれがあっていて、高校の間でとても伸びたと感じています。おかげで今も意識高く取り組めるようにもなっています。
中学高校とも同じ仲間たちでバレーボールをしていました。私の同級生は5人でしたがみんな負けず嫌いで常に高めあっていました。
今のチームは社会人ということもあり年齢層も幅広くなっていますが、みんな仲良くやっていると思います。

◇ 攻撃的なセッター・強みはサーブ

私の一番の強みはサーブだと思います。中学の時から、自主練の時には自分のペースで取り組めるサーブ練ばかりやっていたように思います。練習時間をかけた分、サーブの技術が向上し、自信を持つことができました。それが今につながっていると思います。
また、私のポジションであるセッターとしては、攻撃意識が高い点が強みだと思っています。通常、セッターはスパイクを打ちためにトスを上げる役割という印象を持たれがちですが、私の場合は自ら攻撃を仕掛けることもしばしばです。常に、攻撃のタイミングを狙っています。


攻撃的なセッターとして、日本代表チームでも常に得点チャンスを狙っている

◇ 桃大の充実した支援が魅力

私は耳が聞こえないため、通常の環境で授業を受けることは困難です。そのため、私のような学生に対する支援体制が充実している大学を探す必要がありました。文系の大学で支援体制が整っている大学は複数ありますが、その中で一番魅力的だったのが桃山学院大学でした。不便なところは無い、と言うと嘘になってしまいますが、学生生活の様々な場面で協力してくださっているので助かっています。
授業の際、支援学生が私の隣に座り先生の発言や授業の内容を書き起こしたり、PCに打ち込み提示してくれるノートテイクやパソコンテイクなど、公平に学ぶ機会を提供してくれているのが、桃山学院大学の魅力だと思います。

◇ 幅広く履修

特にこれといったテーマは決めず、幅広い科目を履修することで様々な分野を学んでいます。ゼミは、もともと興味のあった西洋の歴史に関連し「西洋の法学の歴史」をテーマとするゼミに所属、学びを深めています。
卒業後の計画は現時点で決まっていませんが、東京で働きたいと思っています。
バレーボールについては、まずは今年のデフリンピックに出場できるよう頑張っているところなので、その先のことはあえて考えないようにしています。デフリンピックを経験した自分が、何を感じるのか。バレーボールとの関わり方は、その時にじっくり考えたいと思っています。

大の魅力を生かし、他学部の授業も含めて幅広く学んでいる
2024年度の秋学期には、学生表彰を受賞(右は中野学長)

◇ 「ゆっくり話しかけて」

健聴者とコミュニケーションは、基本的に(口の動きを読み取る)口話で頑張っていますが、わからないときは筆談で話しています。
普段は補聴器を使っていますが、あくまで補聴器は音を大きくする役目を担っているだけですので、聞き取ることができないケースもよくあります。
(私に聴覚障がいがあることを知らずに)普通に話しかけてこられ、私がわからなくて聞き返すと、「あ、大丈夫です」と言われることが多いです。その時は、もう一度ゆっくりはっきり話しかけてほしいです。諦めないでほしいと思います。

東京2025デフリンピックは2025年11月に開催される
背番号8が躍動する姿を楽しみにしたい

(※この内容は2025年1月取材時のものです。)

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