見出し画像

溶けない!?アイスクリーム 世界初のスイーツで、世界中を笑顔に。【株式会社バイオセラピー開発研究センター】

研究とクレームから生まれた全く新しいアイス

暑い季節の訪れと共に、食べたくなるアイスクリーム。誰もが知るこのスイーツの概念を根底から覆した「溶けない!?アイスクリーム」で、今や金沢をはじめ東京や大阪にも直営店「金座和(かなざわ)アイス」を展開する株式会社バイオセラピー開発研究センター。トップとして舵を取るのは、桃山学院大学 経済学部の卒業生、豊田剛史だ。

室温40度で3時間。形は崩れず、クリームが滴ることもない。溶けない理由は、同社が研究・開発したイチゴポリフェノール。当初は抗酸化などの機能性成分に着目していたが、菓子作りに使ったパティシエから、「クリームに加えたらほんの数十秒で固まった。何か化学的なものを入れているのでは?」とクレームとして指摘されたことがきっかけで、水分と油分を離れにくくし、クリームの形を保つ力があることを発見。その特性を活かし、「溶けない!?アイスクリーム」は誕生した。2014年、創業から8年目のことだった。

豊田は、2000年に大学を卒業した後、I Tや不動産の仕事を経て経営コンサルタント会社で勤務。「もっとたくさんの喜ぶ顔が見たい」と実業への思いは膨らんだが、起業への意識は低かった。そんな彼を変えたのが、現在は研究責任者を務める金沢大学の太田名誉教授との出会いだった。

見た目にもかわいい、溶けないアイス

苦しみから学んだ仕事の本質とつかんだ世界への飛躍

人間の生命に不可欠な食品に関する特許を数多く持つ太田教授の研究シーズを基に、競争力のある商品が開発できると確信。何度も金沢を訪れ1年がかりで説得し、28歳の時に現在の会社を立ち上げた。当初は金時草などのサプリメント開発会社だった。

営業力には自信があった。しかしわずか3年で危機的状況に。窮地を救ってくれたのは、奇跡のタイミングで舞い込んだ200万円の注文だった。豊田はこの時初めて、仕事をもらえる喜びを心から感じたと同時に、助けてもらうことのありがたさや人の役に立つことの大切さを知った。

その後、業績は右肩上がりに。野菜パウダーなど開発した素材で安定した売上を確保できるようになったことで、「溶けない!?アイスクリーム」の開発にも着手。2017年には直営店のオープンも実現した。大手コンビニチェーンなど大口の契約が次々とまとまり、海外出店も決定。売上10億円への道筋も見えてきた今、豊田が掲げる目標は、「50歳までに「溶けない!?アイスクリーム」という日本のプロダクトで世界に勝つ」。あと9年で世界中の胃袋をつかむと明言するその先には、病気で満足に食事がとれない人や飢餓地域の苦しみをアイスクリームでなくしたいという壮大なビジョンがある。

彼のビジネスの軸は、「人の役に立つこと」。そして彼にとってのビジネスデザインとは、「毎日、全力疾走でマラソンをするようなもの」。瞬間的な頑張りがなければチャンスを逃すことになり、チャンスをつかんでも日々積み重ねていかなければ成果は出ない。いくつ国境を越えても、この信念だけは変わらない。

「溶けない!?アイスクリーム」とは

クリームの保形性向上(水分と油分の分離を防ぐ橋渡しの役目)の機能を持つ天然成分「イチゴポリフェノール」を使用して開発したアイスクリーム。40°の気温で3時間放置しても形が崩れない。現在、金沢東山店(金沢市)、大阪アメリカ村店(大阪市)、原宿竹下通り店(東京都渋谷区)の3店舗をオープン。メディアやマスコミにも多数取り上げられている。

(※この内容は2018年6月取材時のものです)