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EV(電気自動車)普及の先進国・ノルウェーに学ぶ/経済学部吉弘ゼミが大阪府・市のプロジェクトで発表

 経済学部の地域政策ゼミ(吉弘憲介教授)の学生7人が10月8日、大阪府・市の「副首都・大阪」大学連携プロジェクトのリサーチ・プレゼンテーション中間発表会に参加しました。EV(電気自動車)普及の課題を分析し、年度末の最終発表に向けてさらに研究を進める計画です。
 大学連携プロジェクトは、日本の発展をけん引する東西2極の1極として、大阪が副首都の役割を担うことを目指す大阪府・市が始めました。大阪府内外の大学と連携し、学生が様々な社会課題の研究に取り組みます。本年度は大阪市立大学(現大阪公立大学)、近畿大学、慶應義塾大学、阪南大学、桃山学院大学の5大学が参加しています。

◇低い日本のEV販売割合

 吉弘ゼミの学生は、「日本のEV車普及について」をテーマに発表しました。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO₂)の排出を抑える役割が期待されているEV車の販売台数割合の各国比較を行ったところ、日本は3%と低く、米国(7.7%)、中国(29%)、イギリス英国 (23%)、フランス(21%)、スウェーデン(54%)、ノルウェー(88%)などの国々を大きく下回っていました。そこで、特にEV車の販売割合が高いノルウェーについて、普及の理由を調べました。
 ノルウェーでは、▽自動車にかかる付加価値税(25%)がEV車では免除、▽ガソリン車のオイルが凍結することを防ぐヒーターのための電源コンセント(200ボルト以上)が多くの家庭の車庫に設置されている、▽再生可能エネルギーの9割以上を水力発電でまかなっているため電気料金が安い――ことがわかりました。

「日本のEV車普及について」をテーマに発表する、吉弘ゼミの学生

◇駐日ノルウェー大使館に取材

 さらにEV車普及の背景を知るために駐日ノルウェー大使館に質問し、▽一部の公共駐車場の無料駐車、▽道路料金の無料化、▽国道を結ぶフェリーの無料利用、▽バスレーンの使用――などの普及策があるとのことでした。同大使館は「これらは政府に多大なコストをもたらす。したがって、(それらの)インセンティブは徐々に変化しているが、ノルウェーには電気自動車の料金が従来の自動車料金の50%を超えてはならないという国家基準がある」と、同国がEV車普及を強く推し進める方針を説明したということです。
 結論として、日本でもEV車普及を促進するために、税制優遇や道路料金の無料化などの検討が必要としましたが、日本の電力の72.9%(2021年度)は化石燃料による火力発電でまかなわれており、EV車普及がCO₂削減に直結しない問題も指摘しました。

◇EVの課題踏まえ研究を深化

 大阪府・市の職員からは、「ノルウェーのEV車普及の政策を調べており、参考になった。自動車を使う側の視点も踏まえて、EV車をどうしたら普及させられるのか考えてほしい」と求められました。他大学の教員からは、「EV車は果たしてバラ色なのか。EV車は製造から廃棄までのトータルでガソリン車よりCO₂排出量が多いという研究もある。それらの点も踏まえた検討をするべきだ」などの質問があり、発表チームの中心を担った高垣颯飛さん(3年)は「研究はやり残したことがまだ多く、もう少し内容を深められたと思って、悔しい思いがある。指摘された点を修正しながら、自分たちの考えを踏まえて 再修正して、最終発表に臨みたい」と話していました。

他大学の発表に対して、質問する吉弘ゼミの学生

 指導教員の吉弘教授は、「本学が大阪副首都プロジェクトに参加したのは、今年で4年目になる。毎年、他大学や大阪府庁、大阪市役所の職員さんの前で報告することで、自分たちの研究水準を見直したり、学外で真剣勝負をすることで学生も成長を実感できる場になっている」とコメントしています

参加した学生らの集合写真

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