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全く新しい通信方式で、世界中の社会課題を解決したい。

 現在私は、日本電気株式会社(以下、「NEC」という。)のアドバンストネットワーク研究所に所属し、これまでの通信方式とは違った、新たな通信(レーザー通信)の事業化に向けたビジネスデザイン職に携わっています。
 現在のマーケットにはない製品を開発しているため、業務では市場規模の調査や市場ニーズに関する顧客へのヒアリングといった実証実験など、「仮説立案⇄仮説検証」のサイクルを繰り返すことで、顧客にとっての製品価値の精度を日々高めています。また一方で、私自身も日々(理系の)研究者と一緒に業務を行っているため、通信技術や要素技術を学習しながら業務に携わっています。

 今の業務のやりがいは、世界中に通信を用いて「つながり」を構築し、グローバルな社会課題解決に寄与できることです。
 従来の通信方式(光ファイバやWi-Fiに代表される無線電波通信)では、規制、国土、および通信特性(電波では干渉する)など様々な環境要因によって通信が確立されておらず、通信格差が生じています。通信が確立されていない状態では、あらゆる「(サービスを受ける)機会」が失われる可能性があり、場合によっては社会課題の解決に遅れを生じさせます。
 それらの課題に対して、先進技術を用いてアプローチすることで、従来の通信技術では届けることができなかった場所にネットワークを構築できることが大きなやりがいとなっています。

 通信環境を提供することは、情報のやりとりだけなく、人が媒介する想いや感情を「つなげる」ことだと私は思っています。
 ドイツの経済学者が「イノベーションは新結合」と定義しています。あらゆる人の共有知を築いていくことが、社会課題を解決できると信じて日々の業務に取り組んでいます。

NEC本社内のNEC Future Creation Hubにて。

桃山学院大学で学んだのは、世の中の「当たり前」を疑い、複数視点から掘り下げて、行動することの大切さでした。

 「問いをたてること」は、仕事に限らず日常生活にも生きていると感じています。
 桃山学院大学(以下、「桃大」という。)社会学部では、「当たり前」や「普通」と表現される社会現象に疑問を持ち、複数の視点から掘り下げることの大切さを学びました。今、仕事で携わっている新しい通信技術も、現状に満足していては生まれていなかったものだと思います。
 特に、「社会階層論」という授業は新鮮かつ驚きに満ちた視点を与えてくれました。
 その中でも「格差は再生産される」という学びは、今でも鮮明に覚えています。これは、身近な問題で例えると「親の貧困が子に引き継がれる」傾向があるのではないか、といったことを指します。
この授業をきっかけに、あらゆる社会を実際に目で見たり、問いをたてて学びを深めていく重要性を実感しました。
 また、在学中に参加した「インド異文化ボランティア体験セミナー」でも、多くの問いを得ることができました。

 こうした桃大での学びや体験から、現在の日常生活では「学びを持ち帰る」ことよりも「問いを持ち帰る」ことを意識するようにしています。学びを持ち帰ると、(最悪の場合は)満足感により思考停止に陥る危険性がありますが、問いを持ち帰り脳にしこりを残しておくことで、なんらかのアクションを促すと考えているからです。

インドのボランティアプログラムの様子。後列左端の男性が廣田さん。

 もうひとつ、桃大で学んだ大切なことがあります。それは、決断や判断を行うときに「とりあえずやってみよう」というマインドです。
 桃大では、「あらゆる可能性が開かれている」と感じています。私自身は、部活動、学園祭の実行委員、海外での異文化体験プログラムに参加したことで、様々な体験ができました。
 多様な組織に属すことにハードルを高く感じるかもしれませんが、そんな時は職員の方々や先生方が、自身の問題を理解し、時には心理面から解きほぐしてくれます。そして、気づけばまた新しい一歩を踏み出している、という経験を私もたくさんしました。
 このような成功体験があるからこそ、仕事でのチャレンジは「やってみてから考える」ようにしています。なぜなら、直接体験したこと以外は、他者(お客様や会社の同僚など)に対して自身の言葉で語れないからです。

桃大で得たバトンに磨きをかけ、次の世代へ託せるようこれからも学び、行動し続けたい。

 ひとりの社会人として大切にしていることに、「学び続けること。行動し続けること。手の届く範囲には責任をもつこと。目で見える範囲には手を差し伸べること。」というものがあります。これは、これからもずっと大切にしていきたい目標です。
 大学生活の様々な体験によって、「自分は恵まれている」と強く実感することがたくさんありました。日本の一般家庭に生まれ、あらゆる点で多数派が構成する「当たり前」とよばれる位置に属し、生きづらさを抱えることも少なく生活をしてきました。
 そんな私ですが、「人生は(いったい私に)何を問うているのだろうか」と考える時があります。答えはないと分かっていても、学び、行動する。それらの積み重ねが、どこかの誰かの救いになると信じています。

 そして、自分が学び、行動して得たバトンを、できるだけ綺麗な形で後世に渡したいと思っています。どんなバトンなのかは未だに分かりませんが、自分が感じた「違和感」や「痛み」を根本から和らげる処方箋になればいいなと考えています。
 バトンの輪郭は、間違いなく桃大での生活で形成されました。色づけや磨き上げることは、社会人での仕事を通じてこれからもずっと行っていきたいと思っています。

NEC本社内のNEC Future Creation Hubにて。右が廣田さん。左は、一学年上の先輩で本学経済学部卒業生の宮下さん。

【在学中の、廣田さんのインタビュー動画はこちら↓↓】

【社会学科の学びはこちら↓↓】

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