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日本の食文化から見えてくる「おもてなし」と「コミュニケーション」。

大学で日本学を専攻し、日本食にも親しんでいた二人

桃大で日本について学ぶ二人の交換留学生。アドリアーネはドイツの大学で、ケルシーはオーストラリアの大学でそれぞれ日本学を専攻し、2 0 1 8 年の秋学期から桃大に留学している。日本に興味を持ったきっかけを聞くと、声をそろえて「子どもの頃に見た日本のアニメ」。日本食について、「オーストラリアでは日本の食材が手に入りやすく、うどんを使った料理などを母につくってもらっていました(ケルシー)」。「ドイツにある日本人経営のラーメン店でアルバイトをし、まかないでラーメンをよく食べていました( アドリアーネ)」。来日前の彼女らにとって、すでに日本の食は身近な存在だったようだ。

茶道を通じて、日本の心を知る

さらに彼女らは、それぞれ自国で茶道をたしなんでいた。今はインターネットで手軽に入手できるため、お茶会で着る着物も数着持っており、着付けも自分でできるという。「YouTubeで着付けの動画がたくさんアップされているので、それを見て覚えました(アドリアーネ/ケルシー)」。 
来日後はこれまで以上に茶道を満喫するべく、彼女らはしばしば京都へ出かけている。茶道具や和小物を買ったり、和菓子を食べたり。来日目的のひとつとして「本物の舞妓に会うこと」を楽しみにしていたケルシーは、早くも京都・祇園でそれを達成できたと笑顔を見せる。 
そんな二人は現在、桃大の茶道部に在籍。キャンパス内にある茶室「翠泉庵」にて、着物に身を包んだ彼女らにお点前を披露してもらった。 
茶杓で抹茶をすくい、釜から茶碗へ湯をくむ。そして茶筅で点てていく。その所作はきちんとしており、出された薄茶の泡立つ口当たり、味わいも立派なものだった。なぜ彼女らは、これほどまでに茶道を追い求めるのだろうか。「一期一会。茶道に由来するこの言葉が好きです。一生に一度の出会い、その瞬間を大切にするというおもてなしの心が素晴らしいです(ケルシー)」。「勉強や将来のこと、日常の中での心配事を、茶道では忘れられます。お稽古でもお茶会でも、茶道のみに心を集中できるところが好きです(アドリアーネ)」。二人の茶道はすでに、「心で感じる」域にまで達している。

日本の「食」は「コミュニケーション」でもある

和食、焼鳥、しゃぶしゃぶ、居酒屋。現在、日本の料理やお店を積極的に体験している二人は、その食文化にどのような印象を抱いているのだろうか。 
「日本では、食べることがコミュニケーションの大きなきっかけになっていると感じます。友だちと会った時も気軽に『一緒にごはん行こう』とか。料理への関心も高いので、会話が弾みます( ケルシー)」。「確かにそう。休日もカフェやレストラン、それを含む施設へ行くことが多いと思います。ドイツでは、アートやスポーツなど、飲食以外のほうが多いです。食事は食事と割り切っていて、遊びとは別。逆に日本では、遊ぶことと食べることが近い。飲食店の数も多くて密集していますね。(アドリアーネ)」。 
異文化として日本をとらえる彼女らの客観的な視点は、日本人がふだん気づかないことを教えてくれる。二人はこれからも桃大で、日本で、さまざまな経験を重ね、日本学の研究を深めていくことだろう。

(※この内容(学年表記含む)は2018年12月取材時のものです。)

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