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学生主役の学び/LA(Learning Assistant)が後輩の成長を促す

 主体的に社会課題を発見・解決できる人を育てるビジネスデザイン学部の学びの中核が、PBL(課題解決型)授業です。学生たちは協力企業(クライアント企業)の課題を分析・発見し、その解決策や新事業の企画立案に取り組み、リーダーシップやコミュニケーション力を高めます。学びの主役は学生で、教員はむしろサポート役。先輩学生が務めるLA(Learning Assistant)が中心になって授業を運営し、受講生の成長を促す重要な役割を果たしています。2年次生のPBL授業である「PBL応用」で、LAを務めた3年次生の呉藤史都さん、髙橋輝さんに、LAの役割や大切にしていること、やりがいを語り合ってもらいました。

◇PBLの進行役 自身にも深い学び

――LAとはどんな業務を担当するのですか。
髙橋輝さん ビジネスデザイン学部の特色であるPBL授業は、企業が抱える課題を解決するビジネスプランを5~6人の班でまとめ上げます。PBL授業の進行役をLAが務め、後輩学生の学びを促進させるのが役割です。

呉藤史都さん グループワークが多い授業なので、グループワーク中の各班を回って、作業が順調に進んでいるのか、何か困っていなのかを観察し、議論が進むように促したり、助言したりして、学びを促進するように介入します。

高橋さん LAは1学年7クラスに各2人、2学年のLAが全部で28人います。PBL授業に欠かせない存在で、3倍ほどの希望者の中から選ばれます。週一回、2コマ連続3時間のPBL授業で進行役を務め、さらに授業後1時間ほど、LAと教員だけで授業の振り返りを行い、良かった点、反省すべきことを共有し、次の授業に活かします。

後輩のサポートに留まらない、LAの魅力やその裏側についてお話しいただきました

――責任の重い役割ですが、どうしてLAをやってみようと思ったのですか。
呉藤さん 私は中高校でソフトテニス部のキャプテンを務め、明るく仲の良い雰囲気づくりが得意でした。PBL授業のグループワークでも6人の班でリーダーシップ、チームビルディングの力を発揮することができたので、今度はLAの立場で、1クラス30人に対して、楽しい、仲の良い雰囲気づくりにチャレンジしたいと考えました。

高校時代、ソフトテニス部のキャプテンとして活躍した呉藤さん

高橋さん 私も高校サッカー部のキャプテンを務め、コミュニケーション力は長けていると自負していました。コミュニケーション力をさらに磨き、グループの力で課題解決する力を高めるために、LAに挑戦しました。LAになってみて、教えるためには事前に授業内容をインプットしておく必要があり、単に受講生として授業に参加する以上に、学びが深いと実感しています。

高校時代、サッカー部のキャプテンとして活躍した髙橋さん

◇受講生の主体性をいかに引き出すか

――PBL授業は、具体的にどのように進めているのですか。
呉藤さん 毎週のPBL授業の終了後、先生からLAに対して次週の授業の「枠組み」がパワーポイントの資料などで提示され、1時間位かけて説明を受けます。その後、各クラスを担当するLA2人だけでミーティングして、授業の進め方を考えていきます。教員によって授業の進め方は少しずつ異なりますが、LAがパワーポイントに沿って授業を進め、内容の説明をすることも多いです。

髙橋さん 私は2年の秋学期に続いて、3年の春学期でもLAを務めました。授業の枠組みは全クラスに同じものが与えられますが、それをどう伝えるかはLAに任せられています。内容をかみ砕いて伝えるため、LAがパワーポイントのスライド資料を補足して作ることもあります。LAが先生役となって授業を進めていき、教員はLAのサポートに回ることが多いですね。

呉藤さん 私は初めてのLAですが、自分が受講生の前に立って授業を進める役割になってみて、受講生の見えないところでLAが多くの準備をしなければならないことを知り、驚きました。

――どんなところに苦労していますか。
髙橋さん 受講している後輩学生の知識や問題意識がレベルアップして、難しくて答えられない質問が飛んでくることもあります。こちらも勉強してレベルアップしていかないと、十分なサポートができませんが、自分の勉強とLAの仕事のバランスを取るのが大変です。また、質問に対して「正解」を教えてしまったら、受講生の学びの促進につながりません。答えを教えるのではなく、そこに到達できるように導く、コーチングの力が求められます。

PBL授業のLAとして、授業進行や後輩のサポートをする髙橋さん(写真中央)

呉藤さん 私たちが担当している2年次生の「PBL応用」では、受講生の主体性を重視しています。主体性を引き出すことが一番難しさを感じているところです。例えば、「このグループは沈黙が長く続き、議論が停滞しているな」と感じられた時、どのように介入してグループがうまく動くようにするのか。介入し過ぎると主体性が失われてしまいますので、グループが自ら動いてくれるように導くのは難しいです。

髙橋さん PBL授業で取り組むすべてのワーク(課題)に目的があります。それを受講生に伝えることが想像していた以上に難しいです。ビジネスプラン作成に必要なペルソナ分析、SWOT分析などの手法を実践してみるワークで、目的を理解しているかどうかで、吸収する力が全く違ってきます。でも受講生は「どんな意味があるんですか」と疑問をぶつけてくることがあり、納得できないとモチベーションも下がります。私たち自身も、受講生時代にはワークの目的をわかっていなかったと、LAになって初めて気づきました。それほど、ワークの目的、狙いを受講生に理解してもらうのは難しいです。

◇社会で役立つ能力が身につく

――LAとしてやりがい、手応えを感じるのはどんな時ですか。
呉藤さん 私は、「(集団に)楽しい雰囲気を作る」ことを目標に、LAになりました。ですから受講生から「呉藤さんは明るくて、楽しく授業に参加することができました」などと直接言われると、やり方は間違っていなかった、と手ごたえを感じ、うれしくなります。LAとして1クラス30人の集団をまとめることができるようになったことに、自分自身の成長も実感しています。

LAの魅力について語る、呉藤さん

髙橋さん 2年次秋学期と3年次春学期のLAとして、合計60人近くの受講生の前に立ってきました。そういう僕の姿を見て、LAをやってみたいと言う後輩もいて、目標となる存在になれたことに、手応えを感じています。PBL授業以外の科目についても相談を受けたり、逆に僕にない視点を持っている後輩から学ぶこともあります。
 30人のクラスを客観的に把握し、どこに問題があるのか判断できるようになったと思います。受講生一人一人にあったコミュニケーションの方法も大切で、授業中に直接話しかける人、授業後に個別にアプローチする方が良い人、SNSなどを通じて働きかける人など、個性に合わせたコミュニケーションの力を身に着けることができました。

LAを通じた成長実感を語る、髙橋さん

◇様々なタイプのLAが活躍

――LAとして得たものは?
髙橋さん PBL授業には、グループワークを通じて企業の課題解決に挑戦し、リーダーシップやコミュニケーション能力を磨くビジネスデザイン学部のすべての要素が詰まっています。私はLAを務めることで、「社会人ゼロ年目」を経験していると感じています。社会人がビジネスに取り組むのに近い形で、座学では得られない、課題解決力を身につけているので、社会に出たとき、他大学の学生より、一歩進んだスタートを切れると思います。

呉藤さん 私は1年次のPBL授業で自分でも意外なことに、「人前で話すことが得意ではない」ことに気づきました。中高の部活のキャプテン経験から、人前で話すのは苦にならないと思っていましたが、それは同じ価値観、方向を見ている小集団でのことでした。PBL授業で様々な価値観を持つ学生の前でプレゼンしたときに、手が震えるほど緊張しました。LAを務め、30人の受講生を前に臆することなく話すことができるようになりましたし、授業をリードするファシリテーションの力も身に着けました。社会人になったら、それらの力を生かしていきたいと思っています。

――LAを目指す後輩にアドバイスを。
呉藤さん LAは大学生なのに授業の運営を担当するという、得難い機会ですし、様々な問題に直面して解決策を考える貴重な経験ができます。とにかく挑戦してみてほしい。ただ、何か目的(私の場合は「楽しい雰囲気を作る」)をしっかり持っていた方が、得られるものは大きくなると思います。

髙橋さん 私も呉藤君も運動部のキャプテン経験があり、コミュニケーション力に長け、チームビルディングが得意なタイプです。しかし、別のクラスのLAで対照的なタイプの人もいます。非常に論理的な話し方をし、クラスの雰囲気も、われわれのクラスよりは静かです。ところが、ビジネスプランの最終発表会に選ばれた7チームのうち3チームがそのクラスだったのです。LAはその人の個性を生かすことができれば、誰でも成果をあげる可能性があるのだと思います。

呉藤さん そうですね。いろいろなタイプのLAがいることが、ビジネスデザイン学部の価値なのだと思います。自分にしかできないLA像があると思うので、是非挑戦してみてください。

授業を後輩と共に作る楽しさや、自身の成長を感じられるLAに皆さんも挑戦してください!

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